Sustainability Research 014

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New York City / New York / USA

日本が頑張っているカー・ツー・カー・コミュニケーション・システムでは実際に今道路上で起こっている情報を本部におくり、時間をおかずに情報が流れるようにしようとしています。
日本では各カーメーカーが行なっていて、各社違うシステムを有しているので、それを統合して情報を収集し発信しようといています。
そのようなことはアメリカでも可能でしょうか。

アメリカとしては、ひじょうに関心をもっています。
GMがいまプロモートしていますが、御存じのようにGMはここ数年、もっと大きい財政上の課題を抱えています。
フォード社は例外かもしれませんが、国内の各自動車メーカーは人々が買いたいと思う製品の開発に多大な努力を払わなければならなくなりました。
だから今はその事に集中している状況です。

フォード社は、車両技術、最新の電子・通信技術システムに関しては他社よりも多少積極的ではありますが、車両間通信そのものに関しては私が知る限り実験段階以上のものはアメリカには存在しません。
推測ではGMが今でも何かテストをしているかもしれませんが、私は知りません。
今進行中の日本での詳細は知りませんでしたが、日本やヨーロッパで開発中ということは知っていました。
車両間通信に関してはアメリカは遅れをとっていると思います。

御説明された日本での状況は非常に健全なことだと思います。
どのシステムが最も有効かは分からないのだから、全ての自動車会社が一つのシステムに同意するのは非常に難しいことだと思います。
でも各自動車会社は自社製品で色々とテストすることができますね。
そして、そのうちにどのシステムが最もメリットがあるかを我々は日本から学ぶことができる。

私が耳にした車両間通信の大理論から、私は多少の懸念を感じています。
というのは全ての情報がドライバーにフィードバックされるのだから、もしも後ろからクルマが追い上げてきたら、それの警告が発せられ、前方にクルマがいればその警告が出る。
本当の情報でもないデータがあまりにも多すぎる。
単にあなたのまわりにはクルマがたくさんいる、と教えられているだけなのではないか。
クルマがいるのは当たり前のこと。
ですからこの車両間通信に関しては慎重になることが必要です。
提供するのが実際に有益な情報であり、無視しなければならない単なるデータであってはなりません。

この技術開発においては自動車メーカーにとってある問題が内在します。
警告することができるとなると、法システムは警告の義務ありと解釈し、警告しないでなにかが起こると自動車メーカーの責任となる。
だから、いかにナビゲートしていくか自動車メーカーにとっては今難しい状況であると思います。

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New York City / New York / USA

最も効果的な衝突回避システムがクルマについていないのは、もっとも効果的な方法にするための充分な法的保護がないからです。

一例は日産で、同社は車線逸脱警告を早くから登場させたメーカーの一つですね。
同社はそれに続いて車線逸脱防止支援を導入、車線逸脱警告が付いているとこのシステムもジョイントしてついてくる。
どのように作動するかというと、車線逸脱システムは常にONの状態で車線を逸脱する前に警告する。
だから運転する人にとっては邪魔。
実際には車線を外れることを予告しているのです。

車線逸脱防止システムは実際に車線を越えたときに作動して、元の車線にもどしてくれる。
もしも警告を無視した場合ですが、それは運転者にとって邪魔なこと。
運転する人にとっては邪魔です。
なぜなら2車線の道路が多く、車線を越えることはたびたびあり、場合によってはウィンカーも出さない。
それなのに車線を越えてもいないのに警告がなる。

まず車線逸脱防止システムが作動して、そっとリマインドしてくれる。
私はまず車線逸脱防止システムが作動して「この方向に行くので良いのですか」とそっとリマンドしてくれて、ハンドルをちょっと動かすだけで修正することができる方がよいと思います。
クルマが車線を維持してくれて車線を越えたときだけアラームが鳴るという方を好みます。
そうあるべきだし、そうすることは可能でしょう。
システムを無効にして、もしそれが駄目な結果ならアラームが鳴る。
しかし、日産は「ライアビリティ」という明らかな理由のために運転者に責任を負ってもらう方向での違うやり方をとらざるを得ない。

自動車メーカーが法的に保護されるようにシステムをいかに構築してゆくか、そしてどのようにすればベストに機能するかの間でテンションが起きるでしょう。
これは我々がやっていかなければならないことです。
前にクラッシュアボイダンスシステムの問題点を話しましたが、これが我々の未来なのだということを強調しておきたいと思います。
特に非常に低速で走る、衝突に対する保護面での設計が充分でないクルマと一般車の共存がますます加速しているとき、その害を最低限にくいとめるのにこの衝突回避システムが有効であるということです。

ですから我々はこの展開に対してとても興奮を感じているのです。
ひとつひとつ生まれてくるものをなるべく早期に検討して、どれが有効でどれがそうでないかの情報をなるべく早く入手するべく努力しているのです。
我々は、まず衝突の可能性の低いクルマを作ってゆくために、このクラッシュ・アボイダンスのフィーチャーに関する情報を技術サイドと共有しています。

しかしながら、まだここ当分の間衝突事故は起きるでしょう。
まだこれらのシステムがどれほど効果的かわかってもいません。
全ての衝突事故を防いでいるわけではなく、死亡事故、衝突事故はたくさん起きているのです。
だから、我々が心配しなくてはならないのは、いずれ起こる事故にたいしての備えのある車両を構築すること。
そして、そのクルマの中に居る人々をいかに守るかということです。