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APRSO & CAREC Road Safety Capacity Building Program Webinar Seriesが開催されました。

APRSOとADBが、2025年3月から1年間を通じて中央アジア地域のRoad Safetyを支援するためのセミナーをJFPRの資金援助を受けてWebで開催しました。

  • 主催:アジア太平洋道路安全監視機構 (APRSO) 、アジア開発銀行 (ADB)
  • 参加者:政府代表、NGO、民間セクター、国際機関、研究機関、政策立案者
  • 協賛:JFPR
    ※当イベントの資金は、ADBを通じて日本政府が資金を提供する貧困削減日本基金(JFPR)から提供されました。
  • 概要:

    APRSOと中央アジア地域経済協力(CAREC)の道路安全能力開発プログラムのウェビナーシリーズは、開発途上加盟国(DMC)の道路安全管理者や技術者、市民社会組織、研究機関、民間企業、国際機関、ADB(アジア開発銀行)職員を対象にしたプログラムです。本シリーズは、道路安全対策における「セーフシステム・アプローチ」の理解を深め、実践力を高めることを目的としています。

    このウェビナーシリーズは、「The UN Decade of Action for Road Safety 2021 - 2030」を支援する取り組みの一環として、世界および地域レベルの優れた事例を共有し、再現可能な施策や行動の具体例を紹介します。さらに、世界・地域・国内の専門家と実務者をつなぐ機会を提供し、道路安全の政策立案、投資、実施の向上に役立つツール、手法、データを活用できるよう支援します。
    そして、さまざまなテーマやシリーズを2025年の1年間を通じて、データに基づいた効果的なアプローチの実施を促進し、道路上の命を守ることを目的としています。

本ウェビナーシリーズ について

テーマ:「データの活用:グローバルおよびローカルなデータを用いた政策、投資、実施の強化」

データを具体的な政策に反映させ、地域の道路安全向上に貢献することを目的としています。本シリーズでは、WHOの「世界道路安全現状報告書」 などのデータを活用し、効果的な対策を講じるためのグローバルおよび地域の指針を提供します
このウェビナーは、持続可能で強靭なコミュニティづくりにおける道路安全の役割を強調する全3回シリーズとなります。

第1回シリーズの概要

第1回シリーズの最初の焦点は次のとおりです。

データの活用:グローバルおよびローカルのデータソースを使用してポリシー、投資、実装を強化する。

「データ活用による道路安全対策の強化について」

データの改善と、そのデータを政策や実際の対策に反映させることは、死亡事故や負傷者を減らすための地域の取り組みにおいて、これまで以上に重要となっています。
2025年3月より、本シリーズは「the Fourth Global Ministerial Conference on Road Safety」の成果を基に、アジア太平洋地域におけるデータ活用のベストプラクティス、知見、実践方法を共有していきます。
本オンライン研修プログラムでは、WHOの「世界道路安全現状報告書」をはじめとする各種データの活用方法について、世界および地域の専門家が以下の分野で指導を行います。

  • 各国の状況分析と比較評価の実施
  • 国ごとの有効な比較手法の確立
  • データを活用した道路安全対策や戦略の優先順位付け
  • データ収集ツールや手法の紹介(既存のデータ不足への対応)
  • 道路安全対策の進捗測定
  • 効果的な情報発信と資金調達の手法

第1回シリーズのスケジュール

  • 2025年3月11日
    道路安全計画と実施に役立つ補足データとリソース
  • 2025年3月25日
    道路安全計画と実施に役立つ補足データとリソース
  • 2025年4月8日
    データによる効果的な戦略計画とアクション開発。
  • 2025年4月22日
    進捗状況の監視に包括的なデータを使用した KPI と SPI の開発
  • 2025年5月6日
    データとステークホルダーの関与による道路安全戦略とアクションの促進と資金調達

- Webinar Series1 Session1(2025年3月11日に実施)-

テーマ:道路安全計画と実施に役立つ補足データとリソース

ファシリテーターはTZFのJessica Truong氏 (Secretary General, Towards Zero Foundation (TZF))が務め
ADBからはPriti Gautam氏 (Senior Transport Specialist and Road Safety Lead, ADB)
APRSOからはAPRSOの議長でネパールの国交大臣であるSushil Dhakal氏 (Joint Secretary, Ministry of Physical Infrastructure and Transport, Nepal, and Chair of APRSO)
JFPRを代表してKeiko Takahashi氏 (Alternative Executive Director, ADB)
がそれぞれ当セミナーのキックオフに当たっての挨拶をしました。

プレゼンテーションは2つ

Fang Dan(Technical Officer, Alcahal Control & Injury 8, Violence Prevention, Western Pacific, WHO)

Abdul Bachani(Director, Johns Hopkins,International Injury Research Unit Follow)

プレゼンテーション1:Fang Dan
テーマ:Global status report on road safety 2023(世界道路安全現状報告書)

国連総会とWHA(World Health Assembly)の決議により、グローバル目標に向けた進捗状況を追跡し、2011-2020年の行動の10年間の進捗状況を評価するよう要請され、当該レポートは作成されており世界中の各地域から2年間のプロセスについてアンケートを実施しました。

アンケートは、14のセクションで87の質問で構成されています。
SECTION A:交通事故による交通事故による交通事故による死亡と非致死的傷害
SECTION B:戦略と目標
SECTION C:情報システム
SECTION D:道路交通事故のリスクにさらされる
SECTION E:インフラ
SECTION F:車両
SECTION G:保険
SECTION H:スピードコントロール
SECTION I:運転障害
SECTION J:保護装置の使用
SECTION K:クラッシュ後の対応
SECTION L:道路安全ガバナンスと資金調達
SECTION M:コンセンサスと提出
SECTION N:地域固有の質問

これらのデータの各地域からの収集から承認までのプロセスなども紹介されました。
なお、これらのデータが容易に見ることの出来るアプリ「WHO ROAD SAFETY DATA APP」の紹介もありました。

プレゼンテーション2:Abdul Bachani
テーマ:世界道路安全現状報告書の有効性と役割

まず、交通事故実態(地域・年齢・事故形態など)の把握から始まり
次に

1. 世界的な進捗状況の監視と情報の必要性

  • 世界の道路安全の傾向を追跡し、地域間・地域内で比較を可能にする。
  • 新たな肯定的または懸念すべき傾向を特定し、進捗状況を評価。
  • 法規制や政策に関するベストプラクティスを強調し、成功事例を共有。
  • 国別のデータの不一致を明らかにし、改善の必要性を提示。

2. 行動の促進と国際的な協力の必要性

  • 世界、地域の動向を踏まえ、各国の行動を促進。
  • 政府、利害関係者、市民社会を巻き込み、道路安全イニシアチブを推進。
  • 各国の法規制のギャップを浮き彫りにし、政策の改善を促す。
  • 国際的な協力と相互学習を奨励し、政策やデータの改善につなげる。

3. 政策・立法環境の改善と政治的コミットメントの強化の必要性

  • 道路安全政策のベストプラクティスを示し、各国の立法環境のギャップを特定。
  • 国際基準に基づく安全対策(ヘルメット着用、速度制限など)の導入を推奨。
  • 道路安全と国家開発目標を一致させ、政策の優先度を向上。

4. 車両安全とインフラの改善の必要性

  • 四輪車および二輪・三輪車の安全基準に関する法規制を強化。
  • 各国の速度制限・ヘルメット規制の現状を評価し、WHO基準への適合を推進。
  • 安全な道路設計や歩行者に優しい都市計画を推奨し、持続可能な移動手段への転換を促す。

5. データシステムの改善と実施のギャップの解消の必要生

  • 正確で信頼性のあるデータを収集し、リスク分析や効果的な対策に活用。
  • 法規制と実際の施行状況のギャップを指摘し、施行強化を促進。
  • 機関間の連携を強化し、政府・NGO・民間セクター間の協力を構築。

そして

6. 世界道路安全状況報告書の役割について

  • 定期的な発行を通じて、進捗状況を追跡し、傾向や成功事例を提示。
  • 法規制、実施のギャップを明らかにし、行動を促進。
  • 関係者間の対話を促し、共通のビジョンのもとで協力を推進。

以上を通じてBachani氏は、データを元にしたアプローチと国際協力を基盤に、政策の改善と実施の強化を通じて、より安全な道路環境の実現が可能になると言及されました。

今回はキックオフであり、中央アジアに適した又は参考になるデーターの紹介やその収集や活用、そして利害関係者とどうパートナーシップを構築するか、というような踏み込んだ議論にはなりませんでした。
1年間続くセミナーです。それらは次回以降に期待します。

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