Sustainability Talk 006

「世界銀行も国連もWHOも、日本には声をかけません。」トニー・ブリス

世界銀行 エネルギー・運輸・水局 世界道路安全部長

写真:トニー・ブリス

世界銀行が、交通? と不思議に思うかもしれない。
しかし、世界銀行は弱者の味方。
地上から交通ストレスを少しでもなくし、人類皆が幸せで豊かで健康な生活をおくることも、彼らの目標なのだ。
世界の交通の問題を考え、対策を実行する、大きな流れのおおもとに彼らがいる。

交通事故死は、テクノロジカル・デスなのですよ。つまり、どうにか出来る。

写真

London / UK

今後、経済危機や環境の問題は、自動車、車社会の安全にどう影響するのでしょうか。

まず、グローバルに交通における安全の問題を考えるのであれば、現在の現象を将来に投影するとこれからの50年に7500万人の人間が交通事故によって死亡するであろう、あるいは7億5000万人の人間が重傷を負うだろうと予想されます。
長期的には、問題が続くということですね。
短期的に見れば、収入の高い国では死亡率が低くなってきています。
アメリカがそのよい例です。
交通量が減ることは、何よりもリスクが減ることにつながります。
ところが、低所得レベルの国々においては、急速にモータリゼーションが起こって爆発的に交通量が増加していることは間違いない。
それに従って,インフラに資金を投じて、いち早く経済を活性化させようという動きがありますが、国が急いで資金を投入し、急いでインフラを整備しようとした結果、慎重にちゃんとやるべきインフラが手抜きになってくるおそれがあります。
時間をかけて環境に与える影響を考慮していないとか、安全面を無視してしまっているとか。短期的に投資をしていくにしても、見失うものが出てくるという危険があります。
興味深いのは、アメリカなどもそうですが、例えば経済危機後の経済刺激策としてもっとインフラに資金を投じることにも同様の危惧があります。
現在我々が主に対象として働きかけている中程度、あるいは低所得レベルの国々の銀行は、貸付額を2倍、3倍にしようとあせっており、急いでやろうとしています。
従って、十分に注意を払ってやるべきことをやっていないかもしれないというリスクがあります。
しかし、その反面、突如として大量の資金が配分されることになって、もっと大きな安全に関わるプロジェクトを実行する、契機を作り出すことにもなります。
今までの小さなプロジェクトでは小額の投資を行なって来ましたが、十分に大きなサイクルにいたっていなかったので、継続的なインパクトが認識されるほどまでになっていませんでしたが、スケールを大きく広げることによって、測定できるくらいの結果が出てくるところまでいくと思います。
安全に関わる問題について中、低所得国の現状を見ると、今まで以上に相当の投資をしなくてはなりませんが、多額の資金を投入する限りは、ちゃんとしたところへ、安全に確保できる形で投資が行なわなければなりません。
しかし今、経済が低迷しているためマイナスの影響が出ていることは確かですし、同時に経済の刺激を加えようとすれば、かつてやってきたように急速に投資して同じやり方に戻ってしまうことも考えられます。
しかし、そこに契機が転がっていることは確かです。