Sustainability Research 009 クラウス・コンパス(後編)

最後に我々の読者に何かメッセージをいただけませんか。

ホルツ: クルマの中ではドライバーが中心です。
ですから、最終的にはドライバーが責任をとらなくてはなりません。
我々はドライバーを助けるために、出来るだけ快適にするために、様々な新しい技術を搭載していきます。
そして、最終的には、歩行者とクルマが同じ道路を走らなくてすむインフラの整備が非常に大切だと思います。

コンパス: やはりドライバーが中心です。
様々な技術というのはドライバーの代替ではなく、ドライバーを支援するものです。
出来るだけ安全に、出来るだけ効率的に、そしていろんなクルマの楽しみを経験出来るように支援するのが様々な新しい技術です。

日本では若者の自動車離れが進んでいます。次の時代を担う10代から20代の若者に今一番欲しいものの調査を行なったところ、1位が新しい携帯電話、2位がipod…ときてクルマは27位なんです。実際に売れていませんし、デートにクルマは使わないようになってきています。ドイツではそのようなことはないと思いますが、日本のそうした若者にクルマを買ってもらうには何が必要だと思われますか?

写真

Wiesbaden / Germany

コンパス: それは日本だけではなく、世界中の大都市で同じ傾向にあると思います。
我々が考えなくてはならないのは、商品としてのクルマだけを考えるのではなくて、モビリティ・移動性というものを考えていかなくてはなりません。いかに渋滞をなくしていくのか。渋滞したり、駐車するスペースがなければ誰でも嫌になりますよね。
もっとフォーカスを広げて、移動性というものを考えながらいかに楽しんでクルマが運転出来るようになるのかということを考えていかなくてはならないと思います。

ホルツ: モビリティは楽しいのだという魅力を若者に訴えなくてはならないと思います。
若者は週末だけクルマが必要であったらそういうところにフォーカスを置く、あるいはスキーに行って、飛行機を降りたらそこからすぐにクルマに乗れるとか。そういうものに提供していく。
1台のクルマということではなく、需要に合わせたモビリティということから考えないとならないと思います。
それを非常にクレバーに出来たメーカーが将来一番成功するでしょう。
我々のデザイナーとも話をしましたが、例えば10年後にはインストゥルメンタルパネルのデザインもまったく変わるだろうと。
つまり、どんどん渋滞が増えてくると、今はタコメーターなどしかないのを、そこをもっと待っている間に楽しめるようなものにするということです。
そういう形でクルマに乗っているのが楽しいのだという楽しさを訴えていかなくてはいけないし、そういうデザインにもなっていくでしょう。