Sustainability Talk 11

米国運輸省のまず第一の仕事は安全ということです。

ノーマン・ミネタ 元アメリカ合衆国運輸大臣 ヒル・アンド・ノールトン社 副社長

写真:ノーマン・ミネタ

元アメリカ合衆国運輸長官は、今少し引いたポジショニングで世界を見ている。
彼に見えている、アメリカの現在、そして世界の今とは。

経済危機後、買い控えしている世界の消費者が、クルマを買い替える時期が遠からず来ます。
その時彼らは、小さな経済的な環境に優しいクルマにするのでしょうか。
それとも相変わらず普通のクルマを買うのでしょうか。どう予測されていますか。

その時も低燃費を求めると思います。
SUVであれピックアップトラックであれ、大型車を志向するとしても燃費を求めるでしょう。
マッスルカーもあり、マッスル・カーとは大きいエンジンを搭載した車のことですが、常にマッスル・カーに注目する人はいるでしょうけれど、それは少数派であり、大多数は燃費の良さを求めると思います。

おそらく小さなクルマが世界中の路上にかなり大量に流入すると考えられますが、その時のトラフィックの交通安全の問題はどのようなものになるでしょうか。

写真

New York City / USA

みんなが必ずしも小型車を求めるとは限らないと思います。
だから私は大きさでなく燃費を強調したのです。
過去において燃費を良くするために軽量車を作りました。
軽量車をつくると死傷者の数が上昇しました。

2001年ブッシュ政権の時代に我々はこの問題に直面したのです。
2001年以前は、議会は運輸省が軽量トラックとバンにたいしてCAFE基準を設けることを禁じていました。
CAFEとはCorporate Average Fuel Economy(企業平均燃費)のことです。
運輸省は軽量トラック及びバンに対してCAFEを設けました。

2001年7月、私は議会に「CAFEを設けることを禁じる規制」を解くように要請し、議会は運輸省に対して「2001年12月までに軽量トラック及びバンに対するCAFE規制を設ける」ことをOKし、それを履行しました。
これには乗用車は含まれていません。
CAFEはモデル年度開始の18カ月前に発表されなければならず、モデル年2004年のためには2002年4月に発表しなければなりませんでした。
そこで2001年に解禁となったので、2004年のモデル年に適応させるためには2002年4月までにその規制の全貌を発表しなければならず、私たちはこれに向けて頑張りました。
モデル年は常にそのモデル年の10月に始まりますから、2002年4月から2004年の10月の18カ月頑張った訳です。

しかしこれは重量ではなく、タイヤのトレッド幅とホイールベースをもとに行ないました。
重量をベースにしなかったのは、重量で燃費を良くしようとすると常に死傷者の数が増えるからです。
ですから、その年の規制制定にトレッド幅を用いた訳です。
そうすることでクルマの安全性を高め燃費をよくすることができました。
そして、それはとてもうまくいきました。