Sustainability Talk 006

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Nürnberg / Germany

経済危機後の交通問題についてはどうお考えですか。

マクロ経済の専門家ではないのでこの景気低迷がどれくらい続くかわかりませんが、経済速度が低迷してきたということは、逆に我々は持続可能なソリューションを考える時間が与えられたということでもあります。
環境問題は特に我々に考えさせる機会を与えてくれていると思います。
スピードリミットを下げる、エネルギー消費を下げる、排出ガスを下げる、歩く、自転車に乗る、そういう機会を増やし、それによってコミュニティが健全に保てる、そういう可能性が出てくる。
ネットワークのスピードということがいわれますが、依然として投資をしてそのスピードを上げていく必要があるのでしょうか。
ヨーロッパでモデルが作られていますが、スピードリミットが80から90km/時ならば最低の排出ガスでベストの燃費が得られ安全性も大幅に高まるといった調査結果も出ています。
私の感触としては「向こう20年くらいで巨大スケールで新しいエネルギーが今現在のものに取って代わるか」といえばどうもそこまではいかないだろうと思います。
そうだとすると、我々はまずやるべきことは、「速度制限を下げる」ということでしょう。
「木曜日の3時までに届けなければいけない」といったジャストオンタイムという考え方がありますが、それも速度制限を時速80kmに抑えたからといって影響が出るわけではないでしょう。
つまり今、あまりにも時間の節約に躍起になりすぎているということです。
製造業の環境において、これは問題になるとは思えません。
むしろ、予測可能であるかということで信頼度が高いかどうかが重要だと思います。
だからより速度制限を下げる、エネルギーの集約度を下げる、そのことで大きな恩恵が得られるでしょう。
そうやってカーメーカーを見ると、たとえばたった1社でも最高速度130kmしか出ない車を作ってもいいとなったら、我々はハッピーです。
市場は歓迎しないかもしれないけれど。
時速250kmとかの車を作っていますが法的にそんな速度を許している国はめったにないわけですが、「そういう性能を提供しなければならない」ということに皆とらわれてしまっていますからね。
しかし、その半分の性能の製品を提供すればいいということになれば、燃費も下がる、排出量も下がるし、安全ももちろん向上する。
エネルギーのセキュリティ、安定性において、空気、温室効果ガス、それら全てに勝ちを上げたければ、特に都市部での交通で時速を20km、30kmを下げることは不可欠になるのではないでしょうか。
最高速度90kmくらいになることもあるでしょう。
この経済性を見れば面白い状況になってきていると見ることもできますよね。
「高ベネフィット」と我々は呼んでいますが、環境変化の原因、特に温室効果ガスの20%は車から出ているといわれていますから、そこでもし、改善があれば地球全体のためによいということになります。
問題解決ののコストを内部化(内部化とは:ネガティブな影響を排出していて、その排出したものを処理する費用は関係ないと人々は思っているが、その費用も自分が出すという考え方に切り替えること)できれば、より効果的だと考えます。
環境汚染対策を生産のプロセスに組み込んでしまえば、空気汚染の処理費を別に払うのに比べれば温暖化ガスの削減がより効果的に行なわれます。
また安全のコストも組み込んで自分ではらうということにしてしまう。
色々な見方がありますが、基本的には安全を改善するということは温室効果ガスの改善に大幅に貢献するということです。