小川和久(前編)
Alexandria, VA / USA
そのような危機管理に関してシミュレーションをするような国の機関は日本にはないんですか。
あって然るべきですが。
重要インフラらをどうやって守るのか、自衛隊がちゃんと守れるのか、消防、警察、海上保安庁がどうなのか。
それらもちゃんとやらなければならないのですが、できていません。
日本は、相手が変化しない場合は対処できますが、テロや戦争のように相手が変化する場合、戦えない。
応用問題に弱い。
奇襲攻撃に弱いのです。
インフルエンザ、伝染病はどうですか。
日本は医学的な研究機関のレベルでは遜色ありません。
しかし、どういう環境で予防していくのかといった、日本の危機管理体制が融通性を欠いているため、形式に流されたりしている現実を見れば、同根の問題を抱えているでしょう。
ワクチンの準備も遅い。
お話をうかがっていると、日本人はイマジネーションがないと思えますね。
形式に流される。
隣と同じことをしておけば、何かが起こっても責任を取らずに済む。
最初に言った、「無事、これ名馬」そういった感覚でしょう。
日本は地震の国といわれながら、新しい地震予知の技術の話題は聞くけれども、各自治体の具体的な地震対策は聞こえてこないし、対策の遅れも言われています。地震発生時のインフラセキュリティはどうでしょうか。
これに関しても、思想や哲学がありません。
危機管理都市推進機構と危機管理都市推進議員連盟というのがあります。
2004年秋にスタートし2005年春には360人を超える戦後最大数の議員連盟になった。
しかし郵政選挙でかなりが落選したので、今は動きが停滞しています。
危機管理都市構想というのは、もう一つの首都をつくろうというプロジェクトです。
東京が直下型地震に直撃されても日本全体が死ななくて済むように、東京以外の都市に首都機能をバックアップとして持っておく。
「外資が日本に来るかどうかは、このことが基本条件になるのに、日本はやっていないじゃないないか」ということから始まりました。
提案したのは民主党の石井一さんです。
そのうち動くでしょう。
もう一つの首都をつくる。何か所あってもいい。
地域の活性化につなげてもよい。
東京の抗堪性を強めるのです。
国土交通省など、恰好悪い話ですが、公表せずにひそかに省のビルの免振工事を行ないました。
たった3年ほど前の話です。
危機管理都市構想は、提案者が石井一代議士だったので、利益誘導ではないかと勘ぐられてしまったのですが、首都機能のバックアップには伊丹空港が最も適している。
広さもよいし、関空伊丹空港用地をもう一つの首都にすればうまくはまる。
これを5年で民間資金を中心に3兆円規模でやる。
夜間人口5万人、昼間人口20万人程度の国際都市です。
政府関係機能は全部ある。
ものによっては大臣がそこに常駐している場合もある。
つまりバックアップですね。
そうすれば、もし何かがあっても日本全体がつぶれることはない訳です。
もちろん、さらなる機能分散もあります。
たとえば、仙台はこの部分の機能をバックアップする。
秋田はこの部分、熊本は…と。
ある意味、これを中心に地域活性化にもつなげる。
推進機構の危機管理担当は私です。
このように、絵を描くことはできているのですが、それを推進する人がいるかどうか。
私が話ができる民主党議員は限られていますが、鳩山さんはその一人。
だから彼には成功してほしいのですが。
ドクターヘリを使った構想にしても、首都機能のバックアップ構想にしても、官僚にはできませんでした。
官民をあげて絵を描き、実行は政治にまかせる。
できれば経済界が前に出るといいですね。