Sustainability Research 002

「しかし、これまでのところ、だれもこの世界のモビリティを減らそうと思っていませんね!」エッケハルド・ブラーニング

BASt(ドイツ連邦交通研究所)前自動車部長

写真:エッケハルド・ブラーニング

Bundesanstalt für Straßenwesen(Federal Highway Research Institute)、通称バスト。
森の民たちの交通研究所は、もちろん森の中にある。
ケルン郊外の森の中から、彼らは、ドイツを、EUを、いや世界を見ている。
先頃開催された、ESV2009(安全自動車世界会議)も彼らが仕切り、世界に向けて発信した。
この世界会議をBASt引退の花道とした、交通科学者ブラーニング博士は、人間とクルマの未来をこう語る。

バイクや交通弱者は、進化を続けている四輪車のための安全の進歩からは置き去りにされてきた。

写真

21st International Technical Conference
on the Enhanced Safety of Vehicles
Stuttgart / Germany

自動車安全、交通安全に絞って、現在世界が抱えている問題点は何でしょう。

クルマ社会における交通安全について述べるとき、私たちは次のことを認識していなくてはなりません。
バイクの運転者や交通弱者の道路利用者が、ますます交通事故・交通災害に巻き込まれるようになって、交通事故・交通災害の統計に大きく関わってきていることです。
なぜなら、彼らのようなバイクの運転者や交通弱者の道路利用者は、ここ10年の間にも進化を続けている四輪車の運転者や乗員のための安全の進歩からは置き去りにされてきたからです。

四輪車の自動車安全について考えるにあたり、次の2点を強調したいと思います。
-まず、衝突時のコンパティビリティの問題です。まだ解決されていませんね。
-そして、事故回避およびpre-crash safetyの問題です。
今日の問題点は、先進のアクティブセーフティシステムはコストが高いために、それらのアクティブセーフティシステムがクルマ全般に広く浸透していかないことです。
将来的には、(たとえばラウンドアバウト交差点における右回り左折フリーのような、)複雑な交通状況における問題を解決するためのデザインされたシステムが必要となるでしょう。