Sustainability Research 004

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Seoul / Korea

そのように、試行錯誤しながら培ってきた日本の技術、世界における出番、ありそうですか。

日本はモータリゼーションの非常に進んだ国です。今後、アジア各国も急速にクルマが増えていく。環境や交通の問題も急増します。環境については特に、解決できる技術を日本は持っているだろうと思います。それは今後の日本の大きな財産でしょう。
もちろん、技術だけでなく、周りの人に配慮する日本の良い伝統もいかしていけるのではないでしょうか。小さな島国ですが、その中でまわりとうまく調和していく生き方をしてきました。
それは明治時代以降の近代化と西洋化で少し様変わりし、戦後、敗戦の後に崩壊してしまった面もあると思います。戦後60年経った今、狭い空間の中で人と人が快適に過ごしていくための工夫やしくみを再構築していくときではないかと思います。
ユニバーサルデザインやエコロジーという点では、江戸時代の暮らし方にはとてもたくさんのヒントがありますね。江戸時代、キモノは一生の間に七変化したそうです。たとえば母から娘に渡すとか、武家のお姫様の着物を家臣に下げ渡すとか、3代、4代に渡る人が着る。その間に、古くなると他の布地として再利用される。一枚の布が何年にも渡って、いろいろな生活場面に使われる、LCAがものすごく長い。それがあたり前だった時代です。
江戸の街のくらしはとても清潔だったそうです。たとえば隅田川は白魚が泳ぐといわれるほど澄んでいたそうですが、それはなぜかというと、江戸の街中のし尿は回収して肥料としてリサイクルするしくみがあったからです。下水道なんかなかった時代ですよ。今は全部流したり、生ゴミも捨てられています。
しかし、伝統的な知恵、つまり限られた資源をどうやって有効に使っていくかなど、日本人が世界に先駆けてつくっていける無形の財産ではないでしょうか。それを世界にもっとPRしていくべきですね。