Sustainability talk 12 久保田秀暢(前編)

久保田さんからご覧になって、
日本の交通事情と欧州の交通事情はどういった点が異なりますか?

ご存知だとは思いますけれど、基本的に旅行速度がぜんぜん違います。
基本的に渋滞しているのは街中だけで、高速道路に乗ってしまえば渋滞にあたりませんし、高速道路の速度制限もスイスで120km、フランスに行けば130kmだし、ドイツではリミットなしですから。

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Geneva / Switzerland

一般道でも時速90kmぐらいで走っていますね。

そうです。
郊外の一般道がだいたい日本の高速道路で、街中が日本の郊外道路のような速度でガンガンみんな走っているので、圧倒的に旅行速度が違いますよね。
あとは道路状況が違いますね。日本に比べてこちらの道路の方がバンピーですよね。がたがたしているからサスペンションの感じも違います。
それから暗いですよね、街中でも。昼間でもデイタイムのランニングライトは必要なんですよ。
でも日本ではあれをつけるとまぶしいですよね。
そういう違いはものすごくあります。

今の季節だと昼間でも曇っていて、ライトを点けていても、もともと旅行速度が速い中で暗い道を走るからデイタイム・ランニングライトを点けても全然おかしくない。
そういう基本的な状況が違いますね。

ですから現在国連で、排ガスの試験モードで国際的な調和モードをつくろうとしていますがいろいろと難しい面があります。
単純に言うと、現在の日本のテストモードは平均速度が低くて、アメリカが高くて、欧州がちょうどその間ぐらいですが、それを3分の1ぐらいずつ取り入れて、調和したモードをつくりましょうという基本的な考え方があって、今はそれに中国やインドも入り、各国の5分の1ずつ足したモードをつくっていこうとしています。
ただ、郊外モードと市街地モードなどをつくる時にどこに重きを置くかは各国にまかせるようにして検討が始まっていますけれども、その時に一番問題となるのが、旅行速度が全然違うこともそうだし、ブレーキの性能なども必要とされるものが全然違います。

ECに後から加盟したニューカマー、ニューカントリーがありますが、その辺の影響はありますか?

その辺の影響力はあまりありませんね。やはり27票持っているといっても、国連の場で発言力があるというと、ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、オランダぐらいですね、あとはたまにスウェーデンがちょっとというぐらいですね。

ニューカマーの国の道路状況や交通状況はいかがですか?

多分それぞれ違うのでしょうけれども、データを持ってそれを示せるだけの体力が彼らにないから、例えばドイツなどが提案したことに対して、国連の場で積極的にカウンター・プロポーザルを出せるだけの体力が彼らにはないですね。
それにそもそもニューカマーの国は会議に来ません。
会議に出席するのは、先程言った国のほかにスウェーデン、ポーランド、スイス(ECではありませんが)、あとはロシアぐらいですね。

ロシアの影響力はどのぐらいあるものですか?

EC域外の欧州の国として非常に影響力があると思います。
大国ですし、市場としてもこれからどんどん伸びていくでしょうし。