Sustainability talk 12 久保田秀暢(前編)

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London / UK

GMがなぜ世界一の企業だったかというと、自分たちが良いと思ったことをスタンダードにするのにリーダーシップを発揮した点にあると思うのです。
一面ですが、そういうところがGMってすごかったんだなと思います。

やはり敏感ですよ。
こうした国際会議で自分たちの国の意見を反映させるためには、日本にとって2つ障害があると思います。
ひとつは遠いということ。そう頻繁に来て自分の意見を言えないということです。行って帰るだけで2日かかるわけですから。
それから、いくら英語が上手な人が来ても、言葉の壁があるということです。

それに加えて交渉能力。
こちらでは小学校の頃からディベートを九九よりも早く教えられるような感覚ですから。そういう人間と言葉の壁もありながら議論しなくてはならないというのは非常に難しいと思います。
そういう部分を乗り越えて日本の案を通すには、私が考えるには方法はひとつしかなくて、他の人よりも先に出すということですよ。

他の人と同じタイミングで出したら日本は負けます。
他の人が出す前に先に出して信用してもらう。
それしか手はないと思います。

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Paris / France

確かに。そうですね。ヨーロッパの国の中で国や人や企業を見ていて、どこが面白いですか?

考え方が近いのはドイツでしょうね。
日本の考え方に近いのはメーカーを持っている国です。
ヨーロッパでメーカーを持っている国はドイツとフランスとイタリア、あとスウェーデンですが、特にドイツとフランスは似ていますね。

ドイツは国をあげてメーカーを支援していますから。
ドイツの動きというのはやはりヨーロッパの中で重要な位置を占めているんじゃないでしょうか。
面白いというか、ひとつの鍵ですよね。
何においても。

研究者が「日本とは別の意見なのだが聞いてくれ」と言うときはだいたいドイツ人ですね、何でも。

そういうところをうまくコーディネートしていくのがフランス人ですね。
ドイツ人は全体をコーディネートしてスムーズに物事を通すというよりも、技術屋がガチッガチッと固めていくというイメージがあります。
ドイツに限らず、どの国もディベートであったり、ロジカルに話す、説明するという能力は圧倒的に日本より優れていますね。

一番で出すということ以外で、日本はどうしたらいいのでしょうか。

一番で出すということと、データに基づいてきちんと説明していくということ以外にないですね。
やはり彼らは、ロジカルに説明することに関しては非常に耳を傾けてくれます。
エモーショナルな意見は完全にスポイルされますが。
言葉の壁があろうがなかろうが、ロジカルに説明をすれば共感をおぼえてくれるので、それを淡々とやるしかないですね。