Sustainability talk 12 久保田秀暢(前編)

ヨーロッパは、クルマが大小さまざまにもともと混在していますが、
環境問題や現在の経済危機などがクルマのサイズ選択に影響を与えているでしょうか。
もともと大きなクルマばかりだったアメリカでも補助金の出る期間中は小型車しか売れないようですから、かなり小型車の比率が増えたそうです。大型車に乗っている人は小型車に注意しなくてはならないので、デューティが増えるという話もあるんですが。

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Amsterdam / Netherlands

ヨーロッパではもともと小さいクルマが多いですね。日本でいえばマーチやフィットクラスやそれより小さなクルマも多いです。
ヨーロッパは日本以上に成熟した社会なので、景気が右肩上がりで一般国民の生活がそれほど豊かになっていくという感じではないんですよ。

その中で各人が持てる富は限られているから、小さなクルマしか買えない人も多いですし。
日本はなんだかんだ言いながらも、まだこれから景気が良くなるかもしれないし、子どももって…。

最近でこそ、ここ10年でダメになってきてしまいましたが、少子化が深刻になる前は社会全体が右肩上がりでしたよね。
そういう環境の中では大きいクルマも売れるけれど、日本もだんだん少子化になって人口も一定になってそれほど生産能力も上がらない、インフレ率が上がってもそもそもの生産能力が上がらないとなると、みんなが小さなクルマに向かいますよね。
もともとそうした背景があって、成熟した社会があって、その中で何に自らの経済の成長を見出すかと考えた時の良いアイテムがいわゆる温暖化対策だったということなんだと思います。

言い方は悪いですけど、日本みたいにエモーショナルに「地球が暖まるから温暖化対策しなくてはいけないんだ」というのではなく、彼らはそれを考えているとしても、温暖化対策でどれだけの欧州が優位に立てるか、世界の中で主要な位置を占めることが出来るかということを非常にロジカルに考えていて、彼らの頭の中には経済発展のためのCO2対策ということがあると思います。

フランスなどは農業国だから、その農業を生かすために何のツールがあるかというとCO2対策ということを取り上げて、5〜6年前であれば、バイオ燃料を推進していましたし。だから温暖化対策というのは、欧州という地域の中で自分たちが発展していくための良いツールなんだと思います。

日本はたぶんそこまで考えていないですよね。
日本はエモーショナルな感じだけれど、ヨーロッパの人たちはもっとしたたかだと思いますよ。

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Paris / France

ところで、日本の方が来られて、会議をされて、決まったものは持って帰られるのですよね?

ここで決まったものは国際基準としてここで発効され義務が発生するので、それを日本の保安基準に国が反映させるということですね。

日本の保安基準に反映させたものを、今度は日本で交付して国土交通省が知らしめるということですね。