Sustainability Talk 009

「将来、交通機関はすべてセパレートされるべきだと考えます。」エヴァ・モルナー

国際連合 EC 運輸部長

写真:エヴァ・モルナー

多くのカーメーカーがあり、たくさんの国を抱えるヨーロッパ。
その多様性故に、
それをまとめていくには強いリーダーシップとバランス感覚の両方が求められる。
その多様性故に、その歴史故に、
新興国は、かの地を注視し、世界の大半がその打ち出すスタンダードに従う。
国連ECは、世界をどうしたいのか。

今、ヨーロッパが世界が直面している問題と、最重要課題についてお聞きしたいと思います。

写真

United Nations Economic Commission
for Europe / Geneva / Switzerland

もちろん最大の課題は、モビリティを維持することでしょう。私はもちろん、クルマそのものを否定しません。なぜなら、クルマでいろいろな場所をを訪ねられて人々は幸せだからです。
もし日本人なら、ヨーロッパに来たらローマを訪ねたいし、ブダペストも訪ねたい。もし私がスイス人ならミラノやパリに行きたいし、行くならクルマで行くでしょう。
これはクルマへの一般的な期待です。
クルマの良い点は、人々を互いに近い存在にするし、世界に何があるのかや世界で何が起こっているのかを知ることもできます。美しい場所を訪ねることもできるし、仕事に行ったり、学校に行ったり、映画に行くこともできる。それは我々がクルマというものを持っているからできることです。

しかし、問題もあります。その第1は、環境問題でしょう。
そして、第2にロードセーフティ、安全の問題です。
環境については、たとえばUNCE(United Nations Economic Commission for Europe)では、我々は他のさまざまな場所も含めて環境問題に取り組んでいます。
たとえば各地の物質汚染についてです。
協調を図りながら、各地の物質汚染を制限する国の協定をまとめます。
今、我々はみんな同じ目標を目指していますね。大気汚染問題だけでなく、二酸化炭素のような国際的な環境問題について。クルマはもちろん環境問題に関与していますが、我々が取り組み始めたものがあります。自然による二酸化炭素排出と、交通や輸送、車両による二酸化炭素排出などの関係についての国際的な新しいプロジェクトです。
もし自然界で生じる二酸化炭素量を知れば、交通や運輸によって生じる二酸化炭素料との関係を知ることができ、今後の対策に効果があると考えます。しかし、実は、我々はそのことに注力したくありません。
少なくとも、我々は実際、モビリティを無料か安く利用してきました。そして、将来もどうやって現在のモビリティを維持するかを考えなくてはなりません。
クルマでの移動、徒歩や公共交通機関での移動などの工夫や進化です。でももちろん、経済的な要素も必要です。そして高品質のサービスが交通安全を伴って低コストなら、それを我々は受け入れるでしょう。
しかしthe nature of road safetyは、また別の問題です。
もし1年に1千3百万人が事故でなくなり、1年に5千万人が傷害を負っているなら、それを受け入れるわけにはいきません。そして、モータリゼーションが発達すればするほど、交通事故死亡者数は高くなります。
交通安全についてのWHOのワールドレポートが言う、「交通安全問題は急激に増えつつあり、世界の人間の死亡の主な原因となった」ことを認めざるを得ません。

5年ほど前ですが、興味深い経験をしました。
それは、モータリゼーションが少しずつ変化していることを示していると思います。
ヨーロッパでは、東へ向かって移動すればするほど、low traffic safetyになります。
そして、あなたがもし30代以上の男性であれば、交通事故に遭う可能性は2倍に増えます。
つまり交通安全問題は、意志を持って避けるべきものとして、シリアスなものになりつつあるのです。
特に、モータリゼーションが急速に発展していて、同時にその国がその状況に適応するのが遅れている発展途上国においては、より深刻です。
それらの国では、必ず、数年以内に多くの交通安全に関する political commitmentを成立させなくてはなりません。