Sustainability Research 001

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New York City / USA

それについて、日本の企業に対して思っていることはありますか。

衝突回避システムなどが最近のトレンドで、日本の企業がリードしている感がありますが、人々がどうそれに反応するか、それをどう使ってもらうかが大きな問題ですね。
先ほど話しましたが、人々は当然オンにして乗車してくれるだろうとこちらは思っているけれども実際にはわかりません。たとえついている衝突回避システムやレーン・デパーチャー・ウォーニングをオンにして、レーンにとどまって、真っすぐ走っているとしたら、もっとテキストチェックに時間を割くことになったりする。
テキストだけでなく、ほかの事を考えていたり、助手席の人に顔を向けて話していたり、人はどのように反応するかわかりません。自動車がある程度補正してなんでもやってくれるようになると、ドライバーは気が散りやすくなる、頼りすぎることになる可能性がありますね。
ドライバーズ・「アシスト」システムは、当然ながら完全に自動で運転をしてくれるわけでありませんよね。
「ドライバーが必要ない」ってことでは決してない。
そこが問題だと思います。

セイフティの技術は、普通に走っていて何かあったら働くというような技術に特化すればいいのでしょうか。

アクティブよりもパッシブシステムのほうが(これはpublic wordですが)、良いと思います。
エアバッグなど衝突すると保護するシステムはパッシブ、シートベルトはアクティブです。
アクティブシステムは、ドライバーが使っているときのみ働きます。クルマを動かすたびに人がやらなくてはいけません。
パッシブシステムは、スタビリティ・コントロールのように自動的に働くもので、通常人々には見えません。
しかし、何千何万という死がそれによって避けられてきている。
本来なら死んでいたようなことが起きなかったわけだから、助かった人は、実は気がついていない。
ABSも最初我々はいいと考えましたが、リサーチするとあまり死亡事故に関して優位性がない。ABSは必要とされていますが、ABSがやってくれることは緊急停止時のステアリングコントロールなのです。短距離でとまらせてくれるわけでもないし、場合によっては停止距離が長くなります。
最大の恩恵は、クラッシュ時にコントロールしてくれること。死亡事故に対してはさほど効果はありません。
ABSの恩恵はほとんど使われていない。つまりプロのドライバーのようになる準備ができていません。
パッシブなアプローチや考え方、すなわち人間がいちいち考えて何かをしなくてはならないということではないという考え方。もちろんシートベルトはつけたほうがいい、それは支持しますが、限界があるのです。みんながみんなするわけではないのです。
特に若者や飲酒している人など危険なドライバーは、無視する傾向があります。技術の有効性を自ら放棄してしまう。
前方追尾車間距離システムは全く自動ですから、無視したとしてもスピードを下げるという恩恵は存在しています。
自動ブレーキつきの前方衝突回避システムでは問題は限られます。
クルーズコントロールがちゃんと今まで伸びてきている状況のみに働き、前方に対して何かがわかり、前に走っているのが車だとわかる、といろいろな情報から、その場合は追突の程度を下げられます。
しかし、プレーンな道では通常は前方同士の衝突ですよね。
そのときドライバーは避けようとします。その正面を避けた角度から突っ込んできた時にフォワードウォーニングが利かない。
自動ブレーキつきの前方衝突回避システムではそれがスタートする状況が非常に限られる、それが問題です。
低速でかなり込んでいるトラフィックで、低速または中速、20マイルか30マイルでの衝突ではかなり効果があると思います。
これは、インシュアランスデータを見るといいですね。
でもやはり正面衝突において、自動ブレーキはそんなに効果があるかなという感じです。これから改良されていくのを見たいと思いますが。