Sustainability talk 11

写真

New York City / USA

バッテリーステーションとバッテリー充電ステーションの両方を考えているのでしょうか。

はい、そうです。
公共政策の視点からは最大限の幅を持たせるべきだと思います。
だから東京電力のような電力会社であれ、トヨタのような企業であれ、クルマを充電する場所を確保するために協力しあう必要があると思います。

今アメリカでは、南カリフォルニアのクーロン社とかエジソン社が南カリフォルニア州で充電ステ―ションを作ろうとしています。
彼らがしようとしていることは、例えば電力使用量が一番少ない真夜中の12時から朝の6時までの間にクルマを充電することです。
もし皆が一斉に夜7時に電気自動車を充電したら、電力会社は充分な電力を供給することができなくなります。
そこでなんらかのシステムを開発して、帰宅をしてすぐにクルマをコンセントにつないでも、例えば夜の11時とか12時まで充電を始めないようにすることが必要です。
夕方の5時とか7時よりもその時間の方が料金も安いので節約になるし、いくつかの電力会社でこのようなやり方を研究しています。

アメリカでは「ドライバーはカウボーイ」と言われるほど、運転や交通にも自由と権利を主張しますね。
このような運転者にシートベルト着用の啓蒙などは試みられているのですか。

運輸省のまず第一の仕事は安全ということです。
航空、幹線道路、公共交通、海運、あらゆる形の輸送手段での安全性です。
私が運輸長官を務めた時、シートベルトの装着数を増やそうとしました。
その時、もし私が「シートベルトをしてください」と言っても誰も耳を貸さないだろうと考えました。
そこでナスカーにお願いして、みんなに人気のあるドライバーに安全について話してもらえるようお願いしました。 それが「Click it or ticket(シートベルトかチケットか)」でした。
私は何回もナスカーのレースに行きました。
全てのクルマにそしてユニフォームにも「Click it or ticket」の文字をつけました。

写真

Washington D.C. / USA

このキャンペーンが始まる前の全米のシートベルト装着率は50〜65%でしたが、このキャンペーンを2年間続けた後は84%に伸びました。
ナスカーのレーサーたちが30秒とか1分のTVCMでシートベルト使用を訴えてくれたからです。
そして2006年には84%までになりました。
カリフォルニアでは94〜95%まで伸ばしました。
そういう点ではこれは大成功を収めました。
しかし、繰り返しますが、このようなことをするときは先程お話したようにエンジニアリング、警察による法律そして教育の三つがなければ安全性の改善はなされません。

今はプライマリー・ローとセカンダリー・ローと呼ぶ法律があります。
セカンダリー・ローとは警官が運転者を止めて、もしその人がシートベルトをしていないければ、シートベルト不着用で召喚状を出すことができます。
警官はシートベルト不着用だけでチケットを切ることができるのです。
プライマリー・ローでは警官はまず、例えばスピードの出しすぎとか乱暴運転などの別件でクルマを止めさせます。
それから、シートベルト不着用の召喚状かチケットを切ることができます。
アメリカ全50州のうち、確か28州にセカンダリー・ローがあり、22州がプライマリー・ローのみです。しかし、少しずつセカンダリー・ローを適用する州が増えてきています。