Sustainability talk 11

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New Jersey / USA

WHOでは2030年までに中国、ブラジル、ロシアでの交通事故死は減少するがアフリカでは上昇すると予測しています。
それは安全性の教育とかインフラの改善の結果だと考えられます。
アフリカでは、インフラがないままモータリゼーションだけが進んでいるのでしょうか。

数字を見る必要があると思います。
たとえば自動車の台数でヨーロッパとアフリカを比べたら、アフリカはヨーロッパの10分の1ほどでしょう。
ですから、アフリカでは一人当たりの死亡率はヨーロッパ程高くない。
自動車の台数に比べて人口は大変多いので、一人当たりの数値は比較的少ないのです。
多分ヨーロッパでは減少しアフリカでは上昇する。
しかしベース数があまりにも小さいし、非常に大きな変革が行なわれています。
これもエンジニアリング、教育そして法律の問題だと思います。

例えばドイツのアウトバーンでは速度制限がありません。
1993年にアウトバーンを走りましたが、私たちは普通のクルマで時速110マイル位で走っていたのに他のクルマはどんどん追い抜いてゆくのです。
でも皆、他のクルマの邪魔にならないことをわきまえていましたよ。

先週はモスクワに居ましたが、最悪の交通渋滞でした。
たがいに押しあい、クルマ同士もすれすれの近さですが、渋滞が激しいので速く走ることができません。
モスクワ空港に到着したときに空港からダウンタウンのホテルまでどれくらいかかるか聞きました。
すると1時間から4時間という答え。
なぜ?渋滞のせいで、もし事故があれば4時間かかる、ということでした。
我々は幸いにも2時間しかかかりませんでした。
1時間から4時間!でも彼らはそれを当たり前と思っているのです。

非常に交通状況が悪いところに、日本やアメリカ、ヨーロッパの先進国がテクノロジーや考え方を持ち込んでその状況を改善する、干渉することは良いことでしょうか?

そのような支援はいつでも良いことだと思います。
問題は、このような国に行って道路交通安全の改善を話すときに、いつも彼らが言うのは「自分たちの国は貧しく、このようなことをするゆとりがない」ということです。
腐敗のために、警官が車を止めるとチケットを切られないように賄賂を渡さなければならない。
これでは、もっとも単純なエンジニアリングでも法の力でも、安全は保たれません。

しかし、エンジニアリングの面で支援することができればとは思います。
たとえば製造・建設を支援するなどですが、ただ、改善を手伝うには資金的支援は、不可欠です。
建設費やエンジニアリング上の調査・研究費なども当然そのなかに含まれてきます。
誰でも人からこうしなさいと言われるのはいやです。
何かしなくてはならない、という決断は自分たちでしなくてはなりません。
しかし半面これらの国は貧しく資金的な余裕がありません。

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Washington D.C. / USA

2004年から2005年の16カ月間、我々は中国とアメリカを64往復して中国と航空自由化協定の交渉をしました。
その時私が気がついたのですが、中国には人口百万以上の名前も聞いたことのないような町が216もあるということです。
何かで読んだのは中国第四の空港が、名前も聞いたことのない町にあるのです。
この空港を年間6千万人の人が利用するのです。
6千万人というとここワシントンDCのダラス空港の3千2百-3千5百万人よりも多い数です。
北京の南西800マイルとかのところで、私は、聞いたこともない所です。
なのに、それが中国第4の空港です。
216か所もこのような場所、町があるのです。