Sustainability talk 14

核廃棄物を未来に付け回すのではないか、と懸念する声もあります。

そうですね。
使用済み核燃料を再処理せずそのまま地下などに置いておくのを「ワンス・スルー」と言いますが、あとで新たな技術が出て来た時点で、そのようにして置いておいたものを処理しようとする考え、これもあります。

アメリカは、使用済み燃料の保管場所をめぐって政策がゆらいでいますが、この方法はかなり大きな場所を要します。
再処理をして、高レベル放射性廃棄物にして埋めたほうが場所は小さくて済みます。

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Zaandijk / Netherlands

いずれにしても、原子力政策は使用済み燃料の再処理が基本です。
再処理するまでの間、中間貯蔵するためにとりあえず冷却するために、福島第一原発の4号機のプールに使用済み燃料を置いておくリスクが明らかになりました。
地震を考慮すれば、あんなに上に置いておくなんて危険でしょう。

これは重要な反省事項ですね。
本来なら、プールで冷却したものは、六ヶ所村再処理工場にもっていくべきものですが、とりあえず置かれている状態です。
そこで地震津波が起これば、事故につながる可能性が明らかになった訳です。
ですから中間貯蔵にしてもやり方をきちっと考えないとならないでしょう。
プールの冷却用電源の問題です。
事故のあらゆる可能性について、充分にあらかじめ考慮しなくてはならないという、非常に重要な教訓です。

廃棄物処理については、最終処分に向けて、どこの土地にするか、早晩決めなければなりません。
ロシアは、「核燃料を売り、その後使用済み核燃料をまたロシアに引き取る」という提案をしたことがありました。
しかし日本はこれに乗らなかった。
なぜなら、もしかしたら、返した使用済み燃料を再処理して核爆弾をロシアがつくることも考えられないわけじゃない。
より効率的にプルトニウムを作る技術を持っているロシアが、核爆弾を使用済み核燃料からつくるはずがないのですが、検証できないので、日本は原子力の平和利用を掲げている国是からすると、そのオプションはあり得ないのです。

プルサーマル発電やトカマク型核融合炉には、未来はあるのでしょうか。

プルサーマルは、本来は高速増殖炉でプルトニウムを燃やすのが筋なのだけれども、高速増殖炉や次世代高速炉がなかなか立ち上がらないため、とりあえず軽水炉で燃やすためのやり方ですね。
必ずしも本来の使い方ではないのですが、再処理で生まれる燃料を有効に使う方法であり、管理さえしっかりして行なえば、問題はないだろうということです。

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Stockholm / Sweden

トカマクはフュージョンつまり核融合ですね。
トカマクについては、常に50年先にできると言われ続けてきましたが、まだ相変わらずで、2030年ごろに初めて核融合で電気がつくと言われているくらいです。
発電できるのはやはり2050年くらいか、と言われています。
商業的に使われるのはもっと先になるでしょう。
従って我々にとっては核融合は科学、サイエンスであり、まだエネルギー政策にはなっていないのです。