Sustainability talk 14

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Edam / Netherlands

夏、冬にエアコンをつけると走行距離が下がってくるとなると、それも不安ですが、300km行けたら全く問題はないでしょう。
旅行するときも、旅行先で充電できれば問題はありません。
今は車体も軽くなって来ていて、ガソリン車でもリッター20km、30kmは走れますから、それが50kmくらいまで行けるようになるとまだまだガソリン車でも通用するかもしれません。

そのような技術革新があり、ガソリン車もまだまだですね。
確かに、燃料の値段が上がったとしても効率も向上していればトータルなコストは変わらない。
それを考えれば、メタンハイドレートも技術向上によって競争力が出てくるのではないでしょうか。
つまり、日本もさまざまなオプションを持っていることが重要です。
特に近海にソースがあるものは、技術革新への投資をやっておくべきです。

サハラ砂漠やサウジアラビアで、太陽光発電のパネルをつくっていますが。

デザーテック(DESARTEC)、地中海を囲むエネルギー供給網ですね。
昔は夢物語でしたが、現在はリアリティのある話しになっているようです。
フランスとドイツが主導権争いをしているとも聞きました。
今や現実味のある話しになっています。
実際にモロッコからスペインに電力を供給していますし、スペインも力を入れています。

北アフリカではモロッコは大変熱心です。
確かに北アフリカには、まだ世情も安定していない地域があるので時間がかかるかもしれませんが。
ゆくゆくは、ヨーロッパが二酸化炭素排出量を減らしていこうとすると相当の電力を北アフリカから輸入しないと困るのです。
2050年になればデザーテックは十分に可能性があるので、それまでにどういう投資をするかです。

またドイツは、直流高圧送電の技術を今、力を入れてやっています。
つまり、長距離を電力ロスを抑えてエネルギーを運ぶ技術です。
さらに超伝導送電という技術もありますが、これはロスゼロですので、それによって電機が貯蔵ができる技術です。

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Nissan Advanced Technical Center

これが技術的に可能になると、新しい世界になるでしょう。
日本にはこの技術があり、リニアモーターカーでも使われているのです。
電力は、貯蔵ができないことが安定供給の上でネックになっていますから。
揚水発電と系統線の連携を組み合わせると、エネルギーの貯蔵がビジネスになります。
ノルウェーのように電気が安いときにデンマークから買っておいて揚水して貯めておくというのは賢い手だと思います。
揚水発電でさやを取るというのは非常に面白い発想ですね。石油を備蓄して非常時に出すというアイデアがIEAのミッションですが、これは例えてみれば自動車と石油に象徴される20世紀文明の下での古いエネルギーセキュリティになります。

21世紀型となると、今後は電気自動車に移行していきますから、今後は電力の安定供給、その貯蔵、そのためのグリッドのコネクション、デザイン、スマートグリッドと電気自動車、というようなシステムが、しかも1国だけでなく、いかに近隣地域でうまくしくみを作るか、これが21世紀のエネルギーセキュリティでしょう。
そのために必要なのは、石油の備蓄の問題だけではないでしょう。
それが、私がIEAで最も力を入れた点です。
そうした方向で、IEAでも議論が進んでいます。