Sustainability Research 22

グローバルNCAPについてお聞きします。
世界にはたくさんの国があり、交通の状況はそれぞれですし、レベルにも違いがあります。
それを踏まえて、開発途上国には、自動運転技術や車車間通信技術は必要だと思われますか。

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Gothenburg / Sweden

私は、それはクルマの安全と同様だと考えます。
私たちは、1942年から2000年頃まで、交通を安全なものにするために関わってきました。
もし我々が学んできた全てのプロセスを開発途上国にも学んでもらえば、我々が60年かかったことを数年で取り入れられるでしょう。
我々はさまざまなことをしてきました。

スピード規制もはじめからあったのではなく、人々がそれぞれ好きな速度で走っていたのを、その後、規制するようになりました。

また、はじめは人々はシートベルトを着用していなくても運転を許されていましたし、他にも同様のことはいろいろありますが、結局、それらは変わってきました。
開発途上国においても、彼らが自ら正しい方法をとるようになるでしょう。
それは非常に重要なことだと思います。グローバルNCAPにおいても、安全を進めるグローバルな協調においても。
それは、安全に関する近代的なナレッジとしてトランスファーされるでしょう。世界中に、迅速にね。

グローバルNCAPは、「カーメーカーは持っているナレッジを活用していない」ことに気がついています。
彼らはエアバッグを搭載しないし、シートベルトも装着しません。
私は次のように見通しています。
安全は当然のことですが、自動運転の分野では、我々は何を成すべきでしょうか。
世界銀行は、かつて1960年代に行なってきたように、開発途上国においてモーターウェイの建設を進めています。
しかし、「道路交通システムは、自動運転を用いれば1レーンですむ。自動交通システムであれば、非常にコンパクトですみ、広い土地も必要ない」とは言いません。

我々は、責任を分担しています。
しかしそれは、開発途上国に技術やアイデアを売るためではありません。最良の近代的な効果的なアイデアをトランスファーするためです。
ポテンシャルとして、彼らは我々のナレッジ以上の利益を得ることができるでしょう。
そして我々自身も利益を得るのです。