Sustainability Research 24

IIHS、エイドリアン・ランドは自動運転をどう見ているのか?

エイドリアン・ランド 全米道路交通安全保険協会研究所 会長

写真:エイドリアン・ランド

2016年の10月に、IIHSで先進ドライバーアシストテクノロジーのカンファレンスが開催されるそうですね。

秋にGlobal NCAPと共催するのIIHSでのイベントは、フリートマネージャーのために企画するのがよいのではないかと思っています。
なぜなら彼らの車は走行している台数も多く、走行距離も長く、まさに自動ブレーキシステムが防いでくれるような衝突事故が多いので、彼らのフリートにこのテクノロジーを搭載することは非常にメリットがあるはずです。
だから将来これを彼らの車に標準装備するよう説得できればと考えています。
どのようにセットアップするかの詳細はまだ決まっていませんが、近々企画会議を開いてどんなことができるかを検討します。
会議は我々のテスト施設で行ないます。
いままでも常に公開してきたので、今回は公開形式となるかどうかはわかりません。

あなたの考えている、アメリカにおけるAutonomous Drivingのロードマップを教えて下さい。

写真

Oakland / California / USA

難しい質問ですね。
まず、全自動車両は、新聞などが言うよりもっと遠い先のことだと思います。
2025年までに自動運転の車両が登場すると言うメーカーがいますが、私の考えでは、2025年までには多分かなり高額ではあるでしょうが、ある条件の中で自動運転が出来る車は登場するでしょう。
traffic jam assist搭載の車はすでにあります。
これは限られたシナリオ内での自動運転ですが、その場合でも運転者はいつでも運転に戻る事が出来なければなりません。
なぜならtraffic jam assistが機能出来る範囲外のノーマルではない状況が発生する事がありうるからです。
そのような部分的な自動はもうあります。
もしも規制者regulatorsの賛同が得られれば、ニッチマーケットはできるでしょう。
Googleはとてもうまい位置づけをしていて、全てを細かく計画することのできる例えば退職者の居住地域で行なっています。限られたエリア内での完全自動運転で、低速車両で、同乗者を乗せる事ができます。
今、それは可能になっています。

しかし、問題は政府のregulatorsが、車両の制御には人間の介在は不要であると同意しなければならない事です。
これまでは彼らは同意の意向を示していません。
これは政府のregulatorsが渡らねばならない大きな橋です。
彼らが「人間の介在のない車両を走行させてもよい」と同意のサインをして責任を負う。
これまではアメリカの全ての州の法律で、車両の制御には人間が介在しなければならない事になっています。
ですから、どの州でも「人間が制御に関知しなくてもよい」という橋を渡ることに対処しなければなりません。でも近い将来そうなると思います。
Googleがどこかのregulatorsを説得する事ができるでしょう。
緻密に計画する事が可能な限られた特定の地域といったニッチマーケットはできてくると思います。
全自動車両に私が乗り込んで「ヴァージニアのリッチモンドまで行ってくれ」と告げるとする。
それにはもっとたくさんの超えるべきハードルがあると思います。
Googleでさえも、まだ彼らが考えついていない、車が対処しなくてはならないめったにない状況をいまだに模索している状況です。

というのは、今、私がここで車に乗りリッチモンドまで行くとすると、歩行者や信号があり、あらゆる所の信号を認知するソフトウエアが必要で、州境を越えると指向性の違う信号を認知しなければならない事もありえますね。
場所によっては信号の赤黄緑が横並びのものもあります。
これらに対するソフトが構築され、テストされ、合格しなくてはなりません。
ですから課題は、「現実の世界で起こりうる全ての状況をソフトが想定した」と我々が納得出来る所に到達することです。
そうでなければ運転席には運転者がいなくてはなりません。

自分がいつでも車の運転できるようにしていなければならないのなら、何故自動車両に余分な金額を払わなければならないのでしょうか。
正直のところ、しばらくの間はおもちゃでしょう。
興味をもつのは少数の人々。
しかしマス・マーケットに対しては本当に自動でなければなりませんよね。
テクノロジーの課題としては、人間と同じように運転できなければならないのですが、これはあまりにも高額。
これらのことすべてをするコストが下がらなくてはならない。
7万ドルのレーザーシステムはマーケットの一角を担うことにはならないでしょう。
今テスト中の2千ドルのレーザーでさえも高すぎる。
だから私のようなテクノロジー・マニアのための、ただの高額なおもちゃにさせないためには、テクノロジーのコストが下がらなくてはならない。
今GoogleやDelphiがしているような事を、低価格でやる方法を見いださなくてはならないのです。