Sustainability talk 15 田中伸男(後編)

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Mississippi / USA

先ほどの環太平洋構想や孫正義さんの「アジアスーパーグリッド」など、日本においては「民」はそういったものを持っていますが、「官」はどこがやるんですか?

「官」には今までそういう構想がなかったので、私も「ヨーロッパの例を見れば、そういったことをやっていますよ」と話しをしていますが、大方は「本当にそんなことができるの?」という反応です。
電力会社もこれまで望んではいなかったのですが、今回の災害で、市場の垣根を取り払っていないととんでもないことになる大きなリスクだとわかったわけです。

そういう意味ではまさに今、千載一遇の機会です。
これまでの考えかたを改めて、電力市場制度を変え、外とのつながりを変えていかないと日本だけ取り残されてしまいます。
その取り残された世界で、脱原発などやったら自殺行為だと私は思います。

今、エネルギーに関する国民的な議論をし、いったいどういうエネルギーオプションを国内に持ち、海外との関係の中でどう展開していくのか、そのためには国内の電力会社はどういう行動を取ればよいのかを考える良い機会でしょう。
政府もゼロベースでエネルギー政策を考え直しましょうと言っていますから、これを奇貨として、どういうエネルギー政策を推進するか、議論を進めるべきでしょう。
そのときにグローバル、リージョナルに国境を越えた視点を入れること、今の日本はそういった視点が足りないのです。