Sustainability Research 013 アンドレ・ジーク(後編)

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Rome / Italy

いくつかの日本のカーメーカーが、カー・ツー・カー・コミュニケーションやカー・ツー・ロード・コミュニケーションを使って、クルマの情報を集めそれを分析して、瞬時にその情報を教える安全システムにトライしています。

オートサーキュレーションですね。
とても重要ですね。
それはコーオペレート・トラフィック・ドライバーズ・アシスタントシステムの領域ですね。

我々は、全てをひとつのセクションで行なうことが大変重要だと気づきました。
ドイツではフランクフルトの近郊に大きなテストエリアがあります。
Sichere Intelligente Mobilität Testfeld Deutschland(simTD)、です。
運輸省、調査省、経済省の管轄です。
サプライヤー、テレコミュニケーション、プロバイダーなどがこれに加わっています。
ヨーロッパでは最大のテストフィールドです。
日本と比較してみると、日本は自動車生産、インフラ、コミュニケーションにおいて多くの経験を持っていますし、伝統的にインフラ部門を重視していて多くのものとお金をつぎ込んでいますが、ドイツでは自律的システム(autonomous system)がよいとされます。
そのシステムはクルマよりも高額ですが、常にアップデートできるからです。
なぜならもし我々が何かをインフラにつぎ込むと、それはこの後30年かかりますね。

インフラ投資がすばやく更新できるものであるなどと思ってはいけません。
エレクトリック部門では技術は日進月歩で2、3年周期でしょう。
でもインフラ投資は、30年なのです。
ですから我々は自動車産業に対して、「インフラか、autonomous systemか、もし安全システムを創るなら、autonomous systemを選びなさい」と常にアドバイスしています。
もしクルマが自律的なら、どこにだってクルマを売ることができます。
もちろん、そうなるとクルマはちょっと高価になるかもしれませんし、autonomous systemも高くつくでしょうけれど、インフラに左右されたりしないでしょう。

そんなわけで、自動車産業はカー・トゥー・カー・コミュニケーションをスタートさせました。
テレコミュニケーションなどのインフラマニファクチャーもまた彼らのビジネスや必要性のためにデータを収集しています。
我々は「あなた方はたくさんの興味深いデータを持っている」と彼らに言いますが、彼らはおそらくデータを得るとインフラに力を注ぎたいのでしょう。
現時点では、多くの予算が必要です。
また、自動車産業とインフラ分野の双方は異なる言語を使いますからね。
ですから我々は、その異なる双方のマニファクチャー間のコミュニケーションをとり、ふたつをつなげて双方に利益があるwin-winの関係を創ろうとしているのです。
おそらくoutside unitに依頼するよりも安い予算で済みますし、お金をセンサーなどの開発に使うとしても、クルマをめぐる興味深いデータを収集しています。

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London / UK

たとえば交通渋滞調査においては、そこにセンサーが必要ですが、アウトバーンにはあっても街中の道にはありません。
しかし国中にセンサーを設置するのは大変なお金が必要です。
でも、クルマからのデータを流用すれば、「あそこに行きたいけれど、渋滞があるから避けよう」となります。
データを配信すれば、より安く、一部だけでなく全体の状況を見出すことができるわけです。もしナビゲーションシステムをターゲットにすれば、行きたい場所の全ての情報を入手できます。
全てをひとつのセクションで行なう、双方に利益があるwin-win関係づくりです。
これが現在の我々の仕事です。
simTDは恊働のよい例です。
そして最も重要な点は、我々がノンセクションだということです。